姫のさがしもの。


「うーん。。。

どうかな?
姫夏がいなかったら…なんて
考えたことないや。

でもジャルコに
就職してたんじゃないかな?

俺、満足してるよ。
姫夏は、イヤ?」



…私がいなかったらなんて
考えたことも無い・・・か。


ズキン。

胸が痛む。


でも、満足してる
って言ってくれて
少しホッとした。




「ううん。

栄太が満足できる
就職先につけて
よかったよ」


無理に笑顔をつくったせいか
少しだけ笑顔が引きつった。


でも、栄太には
気付かれてないみたい。



「姫夏。待たせてごめんな。

今までちゃんと
働いてなくて、

結婚とかも勿論
できなかったし…」



栄太は突然、
そんな事を大真面目な顔で
語り出した。




…け、結婚!?




あたふたと慌てて
答える私。



「だ、大丈夫!

私、結婚とか私、全然
まだ考えてないし!!!」



そんな話されても困るよ〜!


今から私、

あなたに別れ話を
するつもりなんだよ…!?




「ふーん。そっか。

でも、落ち着いたら
そんなことも
ちゃんと考えられる
ようになるしね。

やっぱフリーターじゃ
ダメだって

俺、姫夏のためにも
ちゃんと考えたんだ」



…うぅ。。。

そんな笑顔で
困ったことを言わないで〜


…早く、早く言わなきゃ!

でも、どうやって
切り出していいのか…。


彼の笑顔を見てると

この笑顔を悲しみの表情に
変えさせることが

余りにも申し訳なくて…。





「・・・・・。」



黙り込む私。



栄太は、不思議そうに
私の顔を覗き込んだ。



「姫夏…??」



悩めば悩むほど
苦しくなってきて

少し発作が出始めた。



・・・苦しいよ!

助けて…




宮岸さん。
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