姫のさがしもの。
慌ててクスリを飲む。
その様子に栄太は
「姫夏?しんどいの?
ほら、楽しいこと
考えよう。
楽になるから。
ね?ゆっくり深呼吸しよう」
と、言った。
それが苛立って
余計に苦しくなった。
栄太には
私の苦しみなんて
わからないんだ…。
暫くして、薬が
効き始めた。
落ち着きを取り戻した私は
もう決意していた。
…栄太と別れる。
「…栄太。話があるの。」
栄太は、私の只ならぬ表情に
ビクリと反応して
何かを察知したように
おそるおそる
聞き返した。
「なに・・・?」
私は、ポツリポツリと
話し始めた。
「私、ほんとはね。
再就職しない栄太に
…正直、ずっと
嫌気がさしてたんだ。」
栄太は少しショックを受けた
表情を見せた。
それから、
「うん…わかってた。
でも…
俺、ちゃんと就職したし…!
これからはちゃんと
頑張るから…!」
必死に訴える栄太。
淡々と続ける私。
「ちょっと、
もう遅かったかな…
ごめん。
一度、嫌気がさした気持ちは
元に戻せない。
私、栄太に
少し冷めちゃったみたい」
…言ってしまった。
栄太は、茫然自失の表情で
暫く無言だった。