姫のさがしもの。


「・・・・。

姫夏を、待たせた俺が
悪いのかな。

でも、俺がんばるから
もうちょっと
時間がほしいよ…」



縋るような目で私を見る彼。



「栄太。ごめんね。

実は、それだけじゃないんだ。


私、病気になって
気づいちゃったの。


…栄太の応援は
私が求めてるのとは
違うんだ。

我が儘でごめんね。

でも私、
栄太はもっと優しくて
もっと頼りがいがあるって
思ってたから

ちょっとガッカリ
しちゃったんだ」



栄太は訳がわからないらしく
呆然とした顔をしている。



「俺、優しくなかったかな?

俺、頼りなかったかな?」



栄太の、男としてのプライドを
たぶんズタズタにしたと思う。

私は、もう
引き返せないことを
覚悟した。



「うん。ごめんね。

辛かった時、
栄太は側に
いてくれなかったから。」



そう言うと
栄太は大きく息を吐いた。


「そんな…

呼んでくれたら
いつでも行ったのに」





…栄太はいつも受け身だ。

呼べば来てくれる。
優しいから。


でも、宮岸さんは
呼ばなくても

いつでも
私が側にいてほしい時に、
ちゃんと来てくれたよ。
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