姫のさがしもの。


謝ることしかできない私。



「姫夏が謝る必要ないよ。

俺がダメな男だったんだ。

別れることも
お互い納得した結論だから
姫夏は謝らなくていいよ」



最後まで優しい栄太。



優しくされる権利なんて、
私には何ひとつないのに。



―何度も謝りながら

彼と最後のひとときを
過ごした。

彼が泣き止むまで
私は何度も謝った。




「もう、大丈夫。

帰ろう、姫夏。

…最後に
家まで送らせて」



ようやく泣き止んだ彼は、
静かに私にそう言った。


私は黙って頷いた。




沈黙のまま車に乗り込むふたり。



静まりかえった車内の
気まずさに
耐えられず、


私は口を開いた。



「ひどいことを
言ってごめんね。

私、栄太と付き合ったこと

後悔してないから。

いつまでも大切な
思い出にするから」



そう言ったら
彼はまた少し涙声になって



「俺も、絶対に
忘れないよ。

ありがとう」


と言った。





車が私の家の前に
到着した。
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