姫のさがしもの。


いつもは「またね」と言って
別れるこの場所で


私たちは


「ばいばい」


そう言って

最後の別れを果たした。




朝から降り続いた雨は
もうすっかり止んでいて、


少し湿った空気を
感じながら



私は家の扉を開いた。



少し切ない気持ちに
蓋を閉じるように



パタン



扉を閉じた。




ミンミン蝉の声が
鳴り響く

むし暑い
夏の夜だった。
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