baby love
「さ、保健室行こ」
「うん…ごめんね」
謝る私ににこりとだけ笑いかけて、美月ちゃんは歩き出す。
その後ろを着いて歩きながら、なんとなくふと泣きそうになった。
なんで私こんなにトロくさいんだろ…。はあ。
「失礼しまーすっ」
「…失礼します」
美月ちゃんに続いて保健室を覗くと、中には誰もいなかった。
あれ?と美月ちゃんが首を傾げる。
「おかしいな。誰もいないのかな?珍しー」
「…どうしよ」
「あたし職員室とか探してくるよ。愛菜ちゃんはここに座って待ってて」
そう言って黒い丸イスに腰掛けさせられる。
でもこれ以上迷惑をかけるわけにもいかなくて、私は抵抗した。
「いいよっ自分で探すよ。美月ちゃんは体育館に戻ってて?」
「やーだ。せっかくサボれる理由できたんだもん、サボらせてよ」
「ええっ」
…そう言われると何も言えない。
そんな私を見て美月ちゃんは満足げに「じゃ!」と保健室を出ていった。
閉まったドアを見つめて、ため息。
「……はあ」
その時、先ほど閉まったはずのドアがまた開いた。