baby love
桜田くんの少し骨張った、男の子っぽい指が私の指に湿布を巻き付けていく。
指と指が触れ合う度にその場所が、熱を帯びていく気がした。
ああ、大丈夫かな。私の指、汚くないかな?
「…よし、できた」
私の心配をよそに、桜田くんはそういうと満足気に口の端をあげて笑った。
「ありがとう。ごめんね」
桜田くんも何か用事があってここに来たはずなのに、私の手当てを手伝わせてしまって…申し訳ない。
少し口を緩めて謝りながら、すっと掴まれていた手首を引き抜いた、その時。
離れた私の手首を桜田くんの手が追いかけてきて。
そのままぱしっと再び掴まれたかと思うと、引っ張られてわずかに私と桜田くんの距離が縮んだ。
……近、い。
「あ、…え?桜田く、」
戸惑いながら桜田くんのカオを窺うけれどその表情は長く垂れた前髪で隠されて見えない。
「………」
何も言えず黙りこんでいると桜田くんは、ゆっくりと顔をあげて。
何か言いたげな瞳で、じぃっと私の目を見つめて
「……えっ、」
顔を。ゆっくりと。
近付けてきた。