baby love
あの。
私はいつから美月ちゃんのモノになったんでしょうか。
そう目で訴えてみるけど美月ちゃんは見向きもせず椅子にもたれかかる。
「しっかしねー、愛菜ちゃんがあの桜田を好きになっちゃうなんて」
「べ、別に好きになんて…」
「正直になりなよ。顔に思いっきり好きって書いてあんじゃん」
書いてないよ~っ
そんなこと言った覚えも書いた覚えもないのに……
「それより美月ちゃん…声大きいよ」
もし誰かに聞かれたら大変だ。
こんな地味な私が人気者の桜田くんを好きだなんて…絶対身の程知らずだって思われる。
眉を下げて言うと美月ちゃんは「ああごめん」と謝った。
「…でも、聞かれたくないってことは本当に好きってこと…だよね?」
「えっ」
そんな意味で言ったわけじゃ…
だけど、1番の友達である美月ちゃんにまで隠し続けるのも悪い気がして。
「……うん」
小さく頷くと、美月ちゃんは満足げに笑った。