baby love

「そりゃ知ってるよ、有名だからね。てか桜田も俺の名前知ってるじゃん」



笑顔で言った谷口？くんに桜田くんはニヤリと口元だけの笑みを返す。



「そりゃーね。アンタも有名だから、…女遊びが激しいって」

「…へえ、それは光栄だね」



いつのまにか谷口くんまで口元だけの笑みになっている。

てか！どっちも有名って…挟まれた私は何？って感じになるんだけど…。

しかも桜田くんどうしてこんなにピリピリしてるのっ…！


「あっ…あああの…」

「ん？」



あげた声にようやく私の存在に気が付いたように、桜田くんが私に目を向ける。

本当に大変困った状況なので（色んな意味で）目でその気持ちを訴えると桜田くんは苦笑いした。



「ああ、ごめんね。教室戻ろっか」

「あ、いえっ…う、うん」

「じゃーね。谷口クン？」

「………」



なんで谷口くんに対しての言い方がいちいちこんなに悪いんだ…。

気のせいか威嚇したような目で見る谷口くんを置いて、桜田くんは私の腕を引いて歩き出した。