baby love
………って、あれ?
「さ、桜田くん?こっちは教室じゃない…」
「あんなのあの場を去る口実に決まってんじゃん」
あ、そだったんですか。
無言で納得する私を桜田くんが何か言いたそうにちらりと見る。
「…泣いてたの?」
「え……」
あ、そっか。
私さっきまで泣いてたんだ。
「んー…ま、まあ」
「アイツのせい?」
「まさかそんなっ!た、谷口くん?はぶつかっちゃっただけで…!」
あまりに声を低くしていうからびくびくしつつ慌てて否定すると、桜田くんは今だ低い声のまま「ふうん」と呟いた。
何故だろう。
やっぱり桜田くんの機嫌が悪いように見えてしまうのは…私が隣に、いるから?
そんなことを考えているうちに、気付けば目の前にはトイレが。
ぽかんとして桜田くんを見上げたけど目線を合わせてはくれなかった。