baby love


「さっ…さっ……!」



驚きのあまり声がとんでもなく裏返った。

だって!だって今!!

触られた髪の毛を抑えて口をパクパクさせながら桜田くんを見上げる。

桜田くんの顔が、いつもより赤く見えた気がした。



「なに、嫌だった?」

「いいいえ!そんなわけじゃ…!」



ぶんぶんと顔を横に振る私を見下ろして桜田くんは優しげに笑う。

胸がドキンとして、いっそう顔に熱が集中した。



「つーか何しにきたの桜田」

「なんだよ神田ニヤニヤしやがって。 …ただ俺は白木サンを誘いにきただけだよ、今日一緒に帰れねーかなって」

「え゙!?」

「なんか色々と誤解してるみたいだからな」



ごご誤解って…!そんなことするような深い会話したっけ!?

目を泳がせて戸惑う私の視界の端で神田…もしくは美月ちゃんがニヤニヤと笑う。



「愛菜ちゃんなら今日はたしか放課後なにも予定ないよね?」

「ないけど…」

「じゃあ決定な!先に帰ったりすんなよ?」



にっ、と笑って桜田くんは友達の場所へと戻っていった。

…どうしよう。



「良かったじゃん」



いいわけ、ないっ!




 
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