baby love
次の話題、次の話題、と考えていると桜田くんが「なあ」と呼び掛けてきた。
見上げるとばちりと目が合う。
「…誤解、っつってたやつのことなんだけど」
「あ…うん」
そういえばそれで一緒に帰るってなってたんだっけ。
なに?と首を傾げて見上げていると桜田くんは一度目をそらして、髪をくしゃっとした。
「白木さん、さ。…俺が女の子に簡単に触らせてる…って言ってたじゃん」
「…(うわああのこと…)、言ったっけ?」
「とぼけないで。目泳いでるし…。大体今朝のことだろ」
「……はい」
なんだか怒られた気分でシュンとした。
とぼけたくもなるよ。
思いだすだけでもあんな自分恥ずかしいのに。
そんな私を、桜田くんはすこし真剣な顔をして見下ろす。