baby love
桜田くんは眉を下げて、小さく苦笑いした。
「ごめん、怖がらせちゃって」
「あ……」
「あとついでに昨日のことも。白木さんの気持ち、聞かないままキスしちゃってごめん」
「…っ」
“キス”
リアルなその言葉に顔が熱くなるのを止められない。
そんな私を見て桜田くんは、切なげに目を細めた。
そして
「……白木さんは嫌だったかもしれないけど、俺は、」
―あの瞬間むちゃくちゃ幸せだったよ。
最後にまた謝って。
桜田くんはそう言い残して、そのまま部屋を出て行った。
ドアが閉まると同時に私の体からは力が抜けて、スルスルと床に座りこんだ。