baby love
ハッと目を覚ますとあたりがオレンジ色に染まっていて、もう夕方だった。
いつの間にか寝てしまっていたみたいだ。
携帯で時間を確認すると、「着信あり」の文字。
それは美月ちゃんからで、私は携帯をポチポチと操作して電話をかけ直した。
しばらくしたのちに、プツッという音。
『…もしもし、愛菜ちゃん?』
心配そうな美月ちゃんの声が聞こえてきた。
思わず泣きそうになりながら、見えない相手にコクリと頷く。
「うん…ごめんね、電話出られなくて。寝てたの」
『そんなの全然いいよ。風邪は大丈夫?』
「……うん、平気」
本当は風邪なんかじゃないけれど。
罪悪感に苛まれながら答えると、美月ちゃんは電話の向こうでクスッと笑った。
『とか言って…ずる休みは良くないよ』
「えっ」
あれ、バレてる…!?
『何かあったんでしょー、アイツと』
美月ちゃんの言う“アイツ”が誰かだなんて、聞かなくても分かった。