baby love
「愛菜ちゃんはいっつもボールから逃げてるでしょ?それで莉愛ちゃんに怒られてる」
「だ、だって怖いから…」
「そんなの分かってる。あたしが言いたいのはどうして莉愛ちゃんが怒ってるのかってこと!」
「…私がトロくさいから、じゃないの?」
「なわけないじゃん!」
やっぱり分かってなかった、って言われて考えるけど、他に理由なんて浮かばない。
きっと私は、自分の何かに気付いていないんだ。
「莉愛ちゃんがああやって怒るのはね、愛菜ちゃんが逃げてばかりだからだよ!」
「……」
「怖いのは分かる、逃げるのも分かる。でもね、同じ逃げるのでもただ逃げるのと立ち向かってから逃げるのとじゃ、全然違うんだよ」
「………あ」
「愛菜ちゃん少しでも、ボールに立ち向かおうとした?」
…して、ない。
私はただ怖くて、逃げてた。
私は運動なんてできないし、ボールも怖いから、立ち向かうだなんて無理だって。
逃げてた。