baby love
「アンタが少なくとも頑張る姿見せてたら、莉愛ちゃんだってあんなに怒らない」
「うん」
「…あたしの言ってること、分かる?」
「分かるよ。…私ね、」
いつもそうだった。
気付けばいつも、こんなだった。
「私ね、知らなかったんだ。怖いことに立ち向かうってこと」
「うん」
「怖かったら、逃げるしか、方法を知らなくて」
「うん」
「…それは、桜田くんにも言えることで」
考えてたら、自分の無知さと弱さに胸が苦しくなって。
視界がボヤけて、涙があふれてきた。
「強くなりたいよ……っ!」
強くなりたい。
ビクビクして怖がりな自分が、いつも大嫌いだった。
だから、いつも苦しかった。
自分を好きに、なりたい。
「…あたしもね、怖いこととか、あるの」
「美月ちゃんにも?」
「誰にでもあるよ。怖いこと、嫌なこと、つらいこと…立ち向かうのが嫌になる」
「じゃあどうして、頑張れるの?」
「あたしの場合は、乗り越えたらまた一歩成長できるはず!って自分に暗示かけてるかな」
「暗示……」