Self-indulgent.go.go!
何とか見付けて、髪の毛を鷲掴んでひょいと持ち上げてみる。


「…何か、切ないね。」


僅か痩けた頬、半開きの目からはうっすらと眼球が覗いている。
無精髭を生やし、日に焼けた浅黒い肌。

あたしのお父さんだった人。


「あんたが切なくなる理由は?」


相変わらず前を向いたまま、梓さんが問い掛けてきた。
窓から入り込む風が、紫煙を連れてあたしを通り過ぎていった。

切なくなる理由。
何だろうか。

実の父親の首を鷲掴みにして考えることではない様な気はするけれど。
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