Self-indulgent.go.go!
適当な山中で車が停まる。
これ以上は、おんぼろな軽自動車では限界なのだろう。
梓さんと共に、手袋をはめる。
父親であった男を埋める穴を掘るのだ。


「最高の親孝行ね。」


そう言って笑んだ梓さんは、何故かすこぶる綺麗に見えた。

帰り道、がたんがたんと赤い軽自動車が揺れる。
やっぱりボリューム全開で、流れているのはラブ&ピースを歌う曲。


「…ねえ、梓さん。」


ふと、尋ねてみたくなった。
紫煙がゆるりと揺れる。
サングラスの奥の視線を感じた。
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