B L A S T
「どうした。何かあったのか」
そう言って駆け寄ってきた彼は本当に心配そうにしていて、楓は予想に反した展開に呆気にとられる。
てっきり怒られるかと思ったのに。
拍子抜けだが、安心もした。
この際だから彼の優しさに甘えてしまおう。
「あ、あの」
「ああ」
「イツキさんに頼みたいことがあって」
「頼みたいこと?」
「これ直してほしいんです」
ネックレスを差し出すとイツキは眉をひそめた。
「…これ誰の」
「純平くんです」
やっぱりな、と呆れたようにため息を吐く。
しばしの沈黙。
彼はなにか考えている様子だった。
――やっぱりだめかな。
そう思っていたら、
「まあいい。上がれ」
意外にも、イツキのお許しが出た。