B L A S T

プレハブの二階に上がって早々イツキはどこからか工具を取り出す。

それから赤いソファーに腰掛けて、ネックレスの修理に取りかかった。

その間、楓は部屋の隅でその様子を見守ることにした。

ちくたく、と時計の針が進む音だけが聞こえる。

邪魔をしてはいけないと思っても沈黙に耐えきれなくなった楓はイツキに話しかけた。


「そのネックレスってイツキさんが作ったんですね。すごい器用だなあって感心しちゃいました。もしかしたらお店出せるんじゃないですか?そしたらあたしファン第1号として絶対買います」


イツキの鋭い目が向けられる。

何か失礼なことでも言ってしまったのかと焦ったが、彼は黙って修理を続けた。

それから少ししたあとに


「ありがとう」


と小さく呟いた。

まさかお礼を言われるとは思っていなかった楓は驚いたけれどなんとなく彼の気持ちが分かったような気がした。

…この人、照れてるんだ。

黙々と作業する彼は相変わらず無表情。

でもその仕草がどことなくぎこちない。

感情を表に出せないだけで、実は不器用なのかもしれないと思った。
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