B L A S T

楓は勝手なことばかり話す彼らに心底うんざりする。


「今はガヤの話しないでください」


ぴたり、と彼らの動きが止まった。

重い沈黙。

楓はそっぽを向いて、たまたま近くにあった雑誌を適当にぱらぱらと捲った。

バイクとかよく分かんないし。

するとタクマが恐る恐る声をかけてくる。


「もしかしてさ、嬢ちゃん。今あの男と喧嘩中だったりしないよな」


図星を指され、雑誌を捲る手が止まる。

それを肯定と受け取ったのか、カズが呆れ顔を見せた。


「おいおい。痴話喧嘩はよそでやれや」


かっとなって楓は思わず腰を上げる。


「だからガヤは彼氏なんかじゃないってば!」


いきなり立ち上がった楓に驚いたのか、タクマとカズが揃って目を見開いた。


「何を勘違いしてるか知らないけどあたしとガヤはただの幼なじみ!あたしは生まれてこの方誰とも付き合ったことないんだから!
分かった!?」


間、が空いた。

呆気にとられていたタクマとカズだったが、すぐに正気を取り戻す。


「マジ?」
「マジ?」


楓が深く頷くと、彼らはさらに目を見開いた。

一体何が悲しくて、恋愛事情を暴露しなきゃならないのだろうか。

恥ずかしさのあまりここから逃げ出してしまいたい。
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