B L A S T
「だめだな」
えっ、と楓はイツキに目を向けた。
うんと背伸びをしながら彼が片手を差し出す。
「このネックレス。鎖自体が寂れてるからどうにもなんねえ。今日中には無理だ」
ああ、とその存在をすっかり忘れていた楓は彼から銀のネックレスを受け取った。
確かによく見ると、ところどころに剥げている部分がある。
「いつまでにできますか?」
「だいたい一週間弱」
「…じゃあまた一週間後に取りに来てもいいですか?」
イツキは少し考えて頷いた。
「分かった。それまでに直しておく」
それを聞いて楓は一安心した。
またここに来ることを拒まれるかと思ったが、イツキは特に困った風もなく煙草を吹かしている。
もしかしたら単に諦めただけなのかもしれないけど。
「じゃああたしはこれで」
軽く一礼して部屋を出ようとすると、イツキがタクマとカズに声をかける。
彼らはそれまで部屋の隅で縮こまっていた。
「おいお前ら。そこで突っ立ってないでアシ使って送れ」
「あっいいです。一人で帰れます」
慌てて断るも、イツキの鋭い目がそれを許さない。