B L A S T
やがて白く大きい手が離れ、彼は静かに部屋を出た。
階段を降りる足音が少しずつ遠ざかり、その音に比例するように鼓動が高鳴る。
――なんだろう。
この気持ち。
部屋の中は甘い残り香が漂っている。
頭を撫でられただけなのに、触れられた部分が少し熱くて鼓動が鳴り止まない。
不思議な人だ。
彼に見つめられると
なぜだか
金縛りにあったように
動けない自分がいて
まるで
妖しく光る満月のように
人を惹きつけて
離さない
きれいな微笑だった――――。