B L A S T
「今度は大事に扱えってジュンに言っておいて」
「はい、伝えておきます!」
イツキは少し照れくさそうにはにかんだ。
ふと、楓は窓の外に目をやる。
もしやこの方向は。
「あの、今どこに」
「ああ病院。そのネックレス、ジュンに返さなきゃいけないんだろ」
やっぱり!
予想していた展開に目を輝かせる。
「それじゃあイツキさんも一緒に」
「いや俺は行かない。外で待ってる」
即座に返ってきた冷たい声。
楓はがっくりと肩を落とした。
それからもなんとか説得を試みるものの、イツキは会わないの一点張りだった。
とうとう楓はふてくされてシートに深く座り込む。
その様子を見ていたイツキは困ったように眉をしかめた。
「悪いな。今は本当に会いたくないんだ」
やっぱり附に落ちない。
どうしてそんなにもジュンと会うことを拒むのだろう。
窓の外をじっと見つめる彼の瞳は一体、何を映し出しているのか。