B L A S T

「おいジュン。客だ」


とガヤは中に向かって声をかける。

しばらくしてジュンが車椅子でやってきた。


「あー楓さんだ!また来てくれたんだね」

「あ、うん…」


楓がためらっていると、ガヤは中に向けて顎をしゃくる。


「入れば」


えっ、と彼に目をやる。


「…いいの?」

「別に。勝手にしろって言ったろ」


ガヤは素っ気なく言い放った。


「…そうだけど」


その冷たい態度からガヤはまだ怒っているようだった。

さっきから楓と目を合わせようとしない。

避けている証拠だ。


「ジュン。メロンパンでいいんだな」

「う、うん」

「今からコンビニに行くから一時間で用を済ませろ」


そう言い残してガヤはエレベーターに向かう。


「ねえ楓さん。彬兄と喧嘩してるの?」


様子が変だと思ったのかジュンが心配そうに眉をひそめた。

二週間前の出来事を思い出す。


――あたしガヤのそういう意地っ張りなとこ大嫌い。少しはイツキさんの気持ち考えなよ!


やっぱり言い過ぎたのかもしれない。

楓は慌てて彼の後を追った。
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