B L A S T
流れる窓の景色がいつもより霞んでみえる。
胸元のネックレスを何度も見ては笑みをこぼした。
「そんなに喜んでくれるなら作った甲斐があったよ」
と言ってイツキははにかむ。
ふいにどこから着信音が鳴り響いた。
とたんに車内はなぜか緊迫とした空気に包まれた。
イツキが眉をひそめて険しい顔をしている。
カズがケータイを取り出したところを見ると、着信音はそこから流れていた。
楓は嫌な予感がした。
――なんだろう。
胸騒ぎがする。
カズはイツキとタクマに目配せをすると、神妙な面持ちで通話ボタンを押した。
「もしもし」
この時まで、楓は気付かなかった。
じっとりと絡みつくような黒い視線に。
危険のシグナルはすぐそこまで迫っていたことを―――――――――。