B L A S T
Act.10
それはゆっくりと忍び寄るようにやってきた。
沈黙が痛い。
カズは黙ってケータイに耳を傾けて、時折相づちを打ったりしている。
「分かった」
やがて、ケータイの電源を切った。
赤信号で車が止まる。
「なんだって?」
タクマがカズに問いかけた。
その暗い表情から決していい話ではないことが伺える。
太いため息を吐くと、カズはゆっくりとイツキに目を向けた。
そして消え入るような声で、
「またメンバーがやられた」
と呟いた。
――ダンッ!
車内が大きく揺れ、楓はびくついた。
タクマがハンドルを殴ったからだ。
「ふざけやがって…!何人やられた」
カズは苦い顔をして三本の指を立てた。
「帰りを狙われたらしい。一人は軽傷。あとの二人は今入院してるってよ」
「…顔を見たのか」
イツキが窓の外に目を向けたまま静かに口を開く。
するとカズは少しためらって答えた。
「ああやっぱりそうだった」