B L A S T
それは大きな衝撃を受けた。
まさかそんなはずないと思っていたのに。
「嘘ですよね」
楓は何度も呟くように言った。
「嘘じゃねえよ」
とカズ。
「だってガヤはそんなことしない」
昔からガヤは正義感が強くて、むやみに人を傷付けることはしない。
卑怯な真似はしない。
そう思っていたのになんだか裏切られた気分だ。
なにかの間違いであってほしいと願った。
「嬢ちゃん。実は一昨日オレらのたまり場が荒らされたんだ。犯人はそこに書いてあるとおりだよ」
タクマが差し出したケータイの画面には一枚の画像が写っている。
楓は飛び込んできた光景に目を疑った。
全体に真っ赤なペンキのようなものが飛び散っていて、その場所がプレハブの部屋だと気付くのに時間がかかった。
あらゆるところに、赤。
まるで血みたいで気味が悪い。
そしてイツキのソファーの後ろの窓も赤で埋め尽くされ、その上に白いペンキでこう書かれていた。
決闘を申し込む
断れば
同志が消えると思え
――風神。
その文字と一緒にあの風を操る鬼の顔も記されている。