B L A S T

ということは、イツキが解散を取り消してくれない限り、このメンバーと連絡が取れないことになる。

あまり気は進まないけれどイツキを説得するしか方法はないのか。

でも、


――一度決めたことだ。もう諦めろ。


彼のその決心はきっと固い。


「…やっぱり、純平くんの事件があったからなのかな」


と楓はため息交じりに呟く。


「そうなんスかね…」


重い空気がふたりを包んだ。

しばらくして沈黙を破ったのはテツだった。


「ここだけの話なんスけど」

「うん」

「…イツキさんがＢＬＡＳＴを解散したがっているのは他に理由があるんじゃないかと思うんス」

「…他に？」

「はい」

「どうして思うの？」

「実はジュンのあの事件が起きる前からイツキさんの様子が変だったんスよ。ちょっと荒れてたというか…」

「荒れてたってどんな風に？」

「喧嘩がひどかったッス。学校で暴力沙汰起こして何度も停学食らったりしてました」

「えっイツキさんが！？」


ちょっと荒れてたどころじゃない。

信じられない。

普段は落ち着いていて冷静なのに、とてもイツキさんが暴力沙汰を起こすような人には見えなかった。

…一体、彼に何があったのだろう。


「それに…」


ふいに、テツの表情が伏し目がちになる。


「集会のときイツキさんが珍しく酔ってて…。オレ、聞いちゃったんです」

「聞いたって何を？」

「"俺はこれ以上生きていても意味がない"。そう言ってたッス」