B L A S T

楓は一気に体の力が抜けてしまった。

ずいぶんと脳天気な人だ。

とても暴力沙汰を起こして停学になったことのある人と思えない。

外見だけで見ると、本当に普通の高校生なのに。

普通の、男の人なのに。



――俺はこれ以上生きていても意味がない。


生温い風に吹かれながら、目の前の背中を見つめる。

彼はなにを背負っているのだろう。

テツの言っていたとおり他に理由があるのかもしれない。

BLASTを解散することも。

ジュンを避けていることも。

時折見せる愁いのある瞳も。

すべてがそこに隠されているような気がした。
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