B L A S T
「何人だ」
とカズが楓に目を向ける。
「えっ」
「メンバーだよ。何人集まったって聞いてんだ」
「……」
楓は目を伏せた。
あれから一週間が立った今も、連絡はいまだに繋がらないままだ。
その様子を見たカズは太いため息を吐く。
「まだ集まってねえのに遊んでるたぁ、ずいぶんといい度胸だな」
と笑みを浮かべるカズの目は笑っていない。
怖い!
今度こそ本当に海に沈められそう。
いつでも逃げられるスタンバイをしていたら、テツが小さく呟いた。
「…やっぱりイツキさんがいないと無理っスよ」
その声は、今にも消え入りそうだ。
プレハブの二階の明かりが点いている。
イツキは今日もそこで、赤いソファーに腰掛けていることだろう。
楓が帰る時間になると毎日欠かさず、自宅まで送ってくれる。
でもイツキは決して楓を手伝うことはしなかった。
昨日それとなくメンバーが集まらないと話してみたけれど、彼は無反応で興味がない様子だった。
「それだけイツキの決心は固えってことだ。もうあいつに頼るな。オレらでなんとかするしかねえ」
そう言ってカズはテツをなだめたけれど、その顔はどこか寂しそうだった。