B L A S T
「どうかしたか」
「え、きゃっ」
楓は思わずのけぞった。
イツキの顔が近かったからだ。
「元気がないな。大丈夫か?」
心配そうに眉を寄せるイツキに楓は慌ててかぶりを振った。
「ごめんなさい。ちょっとぼーっとしてただけです」
よく見ると彼は色白の肌で、目元に小さなほくろがある。
それが少し色気を匂わせて、またしてもどきり、としてしまった。
赤くなった顔を隠すようにヘルメットを被ってバイクの後ろに跨ると、同時にエンジンの音が響く。
すると、その音にかき消されないようにしてかイツキは声を大きくして言った。
「今から時間空いてるか」
「えっ、あ、はい。空いてますけど…」
「ならいい」
イツキは優しい笑みを口元に浮かべる。
また、どきり。
「たまには休息も必要だ」
そう言って連れてくれたのはあの高台の公園だった。
今日もたくさんの星が瞬いている。