B L A S T
イツキは近くにある自動販売機でミルクティーを買うと、それを楓に渡した。
「確か好きだったっけ」
「はい!ありがとうございます!」
受け取ったミルクティーはひんやりと冷たくて甘い。
楓とイツキはベンチに腰掛け、静かに星空を見上げた。
まるでプラネタリウムにいるようなその空間は居心地が良くて不思議な感覚に包まれる。
「流れ星、見られるかな…」
楓はぽつり、と呟いた。
星が今にも動き出しそうで、こんなにたくさんあるのなら一つだけでも流れてもおかしくないと思った。
「…楓は流れ星見たことないのか」
とイツキが訊いてきた。
「はい。イツキさんはあるんですか?」
「ガキの頃に一度だけ。あっという間だったから願い事言ってる余裕なかった」
「あははっ。ちなみにどんな願い事だったんですか?」
「さあ。ガキの頃だからよく覚えてないけど、そん時は野球やってたから、プロになりたいとかそんな感じ」
「へえ」
野球やってたんだ。
なんだか少し意外だ。
どうしてやめたのかと聞くと、ただ単に飽きたらしく、その理由がバスケをやめた楓と一緒で笑えた。
「それじゃあ今もし流れ星見たら、願い事なににします?」
「…今?」
「はい」
イツキはしばらく考え込んだ。
あまりに真剣に悩むものだから楓は思わず吹き出した。