B L A S T
「…楓はどうなんだよ」
イツキは笑われたことが恥ずかしかったのか少しふてくされている。
…ちょっと可愛いと思ってしまったり。
「あたしはテストで良い点とれるように、かな。でもまだまだあたしの願い事はこの星の数だけいっぱいあるんです」
イツキは苦笑いを浮かべる。
「それは流れ星が雨のように降らないと難しいな」
ふふ、と楓もつられて笑った。
「願い事か…」
煙草に火が灯る。
イツキは星空を見上げて白い煙を吐いた。
――そうだ。
いいことを思いついた。
「イツキさん。もうひとつだけあたしの願い事聞いてくれますか」
「…ん?」
楓は星空に向かって手を合わせる。
「BLASTにイツキさんが戻ってきますように」
しばらくの、間。
ちらりと隣に目をやると、イツキは黙って煙草を何度も吹かしていた。
「この願い事、叶いそうですかね」
と楓は恐る恐る訊く。
しかし無表情は変わらず、その態度も素っ気ない。
「叶うもなにも、流れ星見てからじゃないと意味ない」
ごもっともな意見だ。