B L A S T
「どうしたの?元気ないね」
顔を上げると、ジュンが心配そうに眉を寄せていた。
「あ、ごめん。なんでもない」
楓は笑顔をよそおう。
結局さんざん悩んだ挙げ句、今日はBLASTのところではなく病院に来てしまった。
小首を傾げるジュンのくりくりとした瞳は子猫のように可愛らしい。
ここに来ると癒される自分がいる。
少しぐらい休んでもいいよね。
「そのネックレス」
「えっ」
突然、ジュンが楓の胸元を指差す。
「一兄が作ったんでしょ」
それは星型のネックレスのことだった。
「ああ、うん」
「やっぱりね」
ジュンがにやにやと怪しい笑みを浮かべる。
「なに?」
「ううん。一兄が女の子のために何かを作ってあげるのって珍しいなと思って」
「…そうなの?」
「うん。だってこの王冠のネックレスだって僕が必死に頼み込んでやっと作ってもらったんだよ」
「へえ…」
ジュンはぽつり、と呟いた。
「一兄にとって楓さんは特別ってことか」
えっ、と楓はジュンに目を向けた。
「あたしがイツキさんにとって特別?そんなわけないよ。だって――」
そこまで言ってから口を噤む。
――あんたには関係ない。
だってあんなひどいこと言われたし。