B L A S T
ジュンは腕を組んで不思議そうに言った。
「それにしてもよく一兄が許してくれたね」
「なんか面白そうだからって言ってた」
「ええっずるい!僕なんかメンバーにすら入れてもらえなかったのに。矛盾してるよ」
「うん。あたしもまさか本当に総長になると思わなかった」
ふうん、とジュンはふてくされたようにベッドに横になる。
「やっぱり一兄にとって楓さんは特別なんだね」
「まさか」
楓は真っ赤になって否定する。
「ねえ、楓さんてさ」
「うん」
「もしかして一兄のこと…」
そう言ってジュンがじっと見つめてくる。
なんだろうと楓が小首を傾げると彼はにかっと笑った。
「やっぱなんでもないや」
背後で扉の開く音がした。
振り向くとガヤがコンビニの袋を持って入ってくるところだった。
「ジュン。メロンパン買ってきたぞ」
「ありがとう、彬兄」
ガヤは楓に見向きもせず、ジュンにコンビニ袋を渡してそのまま病室を出ようとした。
「ガ、ガヤ」
慌てて呼び止めると、ガヤはゆっくりと振り返った。
何日振りだろうか。
彼の顔を見るのは久しぶりな気がした。