B L A S T
「げ、元気?」
幼なじみなのに久しぶりに会ったせいか緊張してしまう。
ガヤは眉をひそめて言った。
「見りゃ分かんだろうが」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
エレベーターに向かうガヤの背中を追った。
「ガヤ。人が心配してるっていうのにその言い方はないんじゃない?」
「心配?」
階数表示を見上げていたガヤの口元に笑みが浮かぶ。
「心配かけてんのはどっちだ」
楓は口を噤んだ。
きっとあたしがBLASTの総長になったことを言っている。
耳が痛い。
「バカだとは思っていたけど、お前マジでバカだったんだな」
「…そこまで言わなくたっていいじゃん」
「お前のしたことは族のメンバーに入ったことと同じようなもんなんだぞ。ちゃんと分かってんのかよ」
「わ、分かってるよ」
「いーや分かってねえ」
「分かってるって」
「分かってねえから言ってんだろうが!」
ガヤの怒声に驚いて首をすくめる。
堰を切ったようにガヤは続けて言った。
「お前、甘く考えてっけど族に入るにはそれなりの覚悟が必要なんだよ。それにリーダーだ?ふざけんな。族のやることは世間にとっちゃ法律違反がほとんどだ。もしサツに捕まったらリーダーがその責任を全部背負うことになんだぞ。それをお前は分かってたって言うのか」
返す言葉がなかった。
ガヤの口から警察と聞いて、自分がやった事の重大さを実感する。
「ごめんなさい…」
楓はうつむいて謝った。