B L A S T
楓は最悪な状況を予想して青ざめた。
いやだ。
こんなところで死ぬのは絶対にいやだ!
「ちょっと誰かいないの!出して!ここから出してよ!」
大声を出してドンドンと扉を叩く。
やっぱり応答はなく、それでも諦めないでベッドにあった枕やあらゆるものを扉に向かって投げたりした。
「…だめか」
やがて体力が尽きてしまった楓は他の方法を考えようとベッドに戻ろうとした。
「うるせえぞ、女」
するとどこからか声が聞こえ、楓は驚いて振り返る。
その声は聞き覚えがあった。
たぶん、あの骸骨男だ。
「心配しなくても外に出してやらあ。ちょっとしたら上と会わせてやるからそれまでおとなしく待ってろや」
と扉の向こうで男は言った。
「…ちょっとしたらってどのぐらい待てばいいのよ」
「ちょっとはちょっとだよ」
「こんなことされておとなしく待っていられるわけないじゃない。あんた、ばっかじゃないの!」
――ダンッ!
突然、扉の叩く音がして楓は思わず飛び上がった。
「おい女。その生意気な口なんとかしねえとこっから一生出さねえかんな」
「えっそれはいや!」
「だったらおとなしくそこで待っとけ。分かったか」
「…はい」
これだから男はいやだ。
ちょっと低い声出せば女は引き下がると思ってるんだから。
まるであの憎きカズみたい。
骸骨男とカズの顔が重なって沸々と怒りが沸いてきた。
こうなったら自分の身は自分で守らなきゃ。
このまま引き下がってやるもんか。
絶対ここから逃げ出してやる。
女をなめんなっつーの!