B L A S T

「待てや、女」


楓が立ち上がろうとしたときだった。

急に骸骨男に腕を引っ張られ、青ざめる。


「逃げようたあ、そうはいかねえぞ」


――バレた!

もうこうなったら強行突破しかない。

楓は骸骨男の手を思いっきり噛みついた。


「い、ってえ!」


骸骨男の手が離れたその隙にその部屋を抜け出す。

右の突き当たりに階段があり、それを登ると廊下に出た。

とたんに青空が目に入る。

どの壁もほとんどガラス張りで外は庭園が広がっていた。

どうやらさっきの部屋は地下にあったらしく、リビングの食卓に食べかけのご飯があることから、ここは誰かの家らしいと分かった。

それにしてもずいぶんと広い家だ。

下手したら迷ってしまいそう。


「女が逃げた!捕まえろ」


振り返ると骸骨男がケータイを手に持って指示している。

やばい。

とにかく逃げなきゃ。

楓は外に出られそうなところを探しながら走り続けた。

普通の家だとありえないこの長い廊下は体力を消耗させる。

やっと突き当たりに来たかと思えば、また長い廊下。

まるで迷路みたい。


「いたぞ、女だ!」


楓は青ざめた。

後を追ってくる骸骨男の他に何人か加わっていたからだ。

このままだと捕まってしまう。

慌てて突き当たりを曲がると、またもや長い廊下が立ちはだかる。

しかし今度は右壁に扉がいくつか並んでいた。
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