B L A S T
一番奥の扉を開けるとそこはお手洗いだった。
急いで駆け込み、外の様子を伺う。
骸骨男たちは次々と扉を開けては閉めたりとその動作を繰り返していた。
楓はポケットの中からケータイを取り出して、通話ボタンを押す。
予想していたとおり圏内で繋がるようになっていた。
しばらくコール音が鳴り響く。
早く。
早く誰か出て。
「女あ、出てこい!」
扉を乱暴に閉める音と男たちの足音が近づいてくる。
「なんで出ないのよ」
緊急用だと言ったくせにコール音が鳴るばかりで繋がらない。
もうだめだ。
そう思って電源ボタンに指を伸ばした時――――――――。
《楓か》
あの、低い声が聞こえた。
「…イ、イツキさん?」
《ああ》
「本当にイツキさんなんですか?」
《そうだ。大丈夫か》
聞き慣れた、その優しい声。
イツキの声を聞いて安心したのか、楓は涙腺が緩みそうになった。
「あ、あの…実は」
《事情は聞いた。今そっちに向かってる》
「えっ…」
《いいか。俺が出ろと合図したら出てくるんだ》
「で、出るってどこを」
《そこをだ》
「そこって…」
――もしかして。
イツキが言っているのは今あたしがいる場所のことを指しているのだろうか。
でも今出たらあの男たちと鉢合わせになってしまう。