B L A S T
Act.15
外ではパステルホワイトの車が停まっていた。
乗り込むと同時に、助手席に座っていたカズが声を荒げる。
「このバカ!お前には隙があり過ぎるんだよ!」
あまりに突然言われて反応できず、楓は瞬きを繰り返した。
「第一総長がそんな弱っちいと下の野郎に示しがつかねえだろうが、バカが!」
「まあまあ。カズ、そう怒んなよ。無事で何よりじゃねえか」
運転席にいたタクマがカズをなだめる。
カズは落ち着かない様子で煙草を吹かした。
――もしかして心配してくれたのかな。
「どうせなら奴らにそのまま海に沈められりゃよかったのに」
口の悪いところは相変わらずだけど。
…やっぱり嫌な男!
「オレら心配してたんだよ、嬢ちゃん」
とバックミラー越しにタクマは言った。
「おい女。タクマがいなきゃお前は助からなかったんだぞ。感謝しろや」
えっ、とカズに目を向ける。
「お前が総長になったときからタクマはお前に付きっきりだったんだ。族と関わってりゃ危険はつきものだ。何かあってからじゃ遅えからイツキがタクマをお前の護衛につけたんだよ」
「そ、そうだったんですか?」
イツキに訊くと、彼は小さく頷いた。
知らなかった。
じゃあ病院で感じたあのねっとりと絡みつくような視線は、もしかして。
「オレがトイレに行ってちょっと目を放した隙に嬢ちゃんが消えててびっくりしたよ。ストーカーみたいなことしてごめんね嬢ちゃん」
楓は首を左右に振った。