B L A S T
「皆、不安なんスよ」
とテツは言った。
イツキは眉をひそめる。
「…不安?」
「はい」
「どういうことだ」
テツの表情が伏し目がちになった。
「イツキさん、これからBLASTをどうするんスか」
「……」
「まさか"風神"とケリがついたらBLAST辞めるとか考えてないスよね」
えっ、と楓はイツキに目を移した。
「皆、イツキさんが辞めちまわないか不安なんスよ。イツキさんが辞めたらオレらはここにいる意味がないッスから。だからオレらはBLAST解散は本気なのか、イツキさんの口からはっきりと聞きたいんです」
テツの眼差しは真剣だった。
メンバーの彼らも揃ってイツキを見つめている。
イツキは黙って煙草を口に加えると肩で息を吐いた。
「イツキさん…?」
テツが首を傾げる。
なぜかイツキの口元が緩んでいたからだ。
「シケた面してんなよ、テツ」
と彼は静かに言った。
「俺の居場所はここだけだ。心配するな」