B L A S T
≪北村誠二。お前の仕業だろ≫
セイジは笑っていた。
にこにこと目を細めるその奇妙な笑顔はなんとも気味が悪い。
≪さあなんのことやら≫
とぼけるセイジにガヤが突っかかる。
≪おいセイジ。どういうことか説明しろ≫
≪やだなあ総長。総長までそいつの言うこと信じるんですか。呼び出しをくらったのはこっちのほうですよ。総長に知らせなかったのはそいつに言われたからです。その画像も嘘だ。全部そいつが仕組んだ罠ですよ≫
≪…本当かよ≫
≪はい。僕が総長を裏切るような男に見えますか?≫
見える、と大声で叫んでしまいたかった。
イツキとセイジの狭間で揺れるガヤは、どちらの言っていることが正しいのか迷っている様子だ。
ここでじっとしているのがもどかしい。
そこで誰かがふう、と一息を吐いた。
イツキだ。
≪じゃあこいつのことを説明してもらおうか≫
おい、とイツキはタクマに目で合図を送る。
するとタクマがこっちに向かって走ってきた。
えっ、と楓は戸惑う。
「大丈夫だよ」
スモークガラスの向こうでタクマはにかっと白い歯を見せると車の後ろに回ってトランクを開けた。
あっ、と楓は目を見開いた。
タクマが引っ張り出したその人物に見覚えがあったからだ。