B L A S T

≪こいつに見覚えはあるか≫

≪…さあ≫


とセイジは首を傾げる。

イツキはその男の口に貼り付けていたガムテープを剥がした。

男はうつむき加減で狼狽している。


≪名前を言え≫

≪あ…えっ、シゲです≫

≪どこのチームだ≫

≪…crusher≫


男はあの骸骨男だった。

そのおどおどした口調は以前とまるで別人だ。

それにしても楓はどうしてイツキが彼を連れてきたのか不思議でならなかった。

彼は今回の騒動と関係ないはずだ。


≪先週の日曜のこと覚えてるな≫

≪…はい≫

≪どこで何をしてた≫

≪病院で…お、女をさらいました≫

≪その女の名前を言え≫

≪真田、楓とい――≫


突然、ガヤが骸骨男の髪の毛を掴みあげた。


≪…今何つった、てめえ。誰をさらっただ?≫

≪さ、真田楓という女です≫

≪はあ?なんで楓がお前にさらわれなきゃなんねえんだ≫

≪…命令されたんです≫

≪誰にだ≫とイツキ。


骸骨男ことシゲはちらり、とセイジに目をやった。

もしかして…。


――ちょっとしたら上と会わせてやるからそれまでおとなしく待ってろや。


シゲは言った。


≪セ、セイジさんです≫
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