B L A S T
チッ、と舌打ちがした。
≪ったく、雑魚が≫
その声がセイジだとすぐに気付かなかった。
≪これだから雑魚は使えない≫
ふいにセイジの表情から笑みが消える。
仮面が剥がれた瞬間だ。
≪セイジ、てめえ…≫
ガヤの声が震えている。
≪すみません総長。でもBLASTを潰すためには仕方ないことだったんですよ≫
セイジは淡々と答えながら煙草に火を灯した。
≪てめえ、どうして楓をさらった≫
≪ああ楓サンは利用させてもらおうと思ったんです。BLASTのトップになったって聞いたんでね。潰すには絶好のチャンスじゃないですか。まあそれも失敗に終わりましたけど≫
そう言ってセイジはイツキを睨みつけた。
≪じゃあ楓は今無事なのか?≫
と訊くガヤにイツキが小さく頷いて車の方を指差す。
楓は慌てて車の窓から顔を出した。
「ガヤ!あたしは大丈夫だよ!」
大きく手を振ると、ガヤが安堵したように一息を吐いたのが見えた。