B L A S T
≪彬≫
ふいにイツキがガヤを呼んだ。
≪お前、この男に見覚えないか≫
≪あ?≫
≪元WAVEのメンバーだ≫
間が空いた。
BLASTの間でどよめきが起こる。
≪WAVE…ジュンをやったチームのことか≫
こくり、とイツキは頷いた。
それからゆっくりとシゲを睨みつける。
≪おい≫
シゲは怯えるように小刻みに震えていた。
≪元WAVEで間違いなかったよな≫
≪…は、はい≫
≪ジュンのことは覚えてるか≫
≪……≫シゲは押し黙る。
≪覚えてるのかって聞いてんだよ≫
≪は、はい≫
≪ジュンをリンチしたメンバーの中にお前も加わってたのか≫
≪…いえ。俺はその、見張り役で手は出してないです≫
≪どうしてジュンをやった≫
≪あいつが、…WAVEを抜けるって言ったからです≫
≪本当にそれだけか≫
≪…はい≫
イツキは肩で息を吐いた。
≪俺が一番嫌いなのは何か知ってるか≫
≪えっ――≫
シゲが顔を上げた瞬間、悲鳴が響き渡った。
その光景を目の当たりにした楓は思わず顔を背ける。