B L A S T

ふいに、彼らの目つきが変わった。

イツキとガヤは目を合わせて小さく頷くと、二手に別れて走り出す。

ガヤが振り返って叫んだ。


「おいお前ら!戦争おっ始めんぞ!」


それはBLASTのメンバーに向けられたものだった。

一瞬戸惑っていた彼らだったがイツキが左手を上げたことで状況を把握し、それから一斉に動き出した。


「ッしゃ、腕がうなるゼェ!」


カズを先頭に彼らは次々と楓を追い抜かし、川を目指して走っていく。

そして川の向こうからやってくる"風神"とぶつかり合うと、ついに争いは始まった。

金属バットの当たる音が響く。

悲鳴も聞こえてそれは見ていて痛々しい光景だ。


「嬢ちゃん、今の内に逃げよう」


タクマに引っ張られ、急いで車に乗り込んだ。

エンジンの音がかかる。


「だ、大丈夫なの?みんな」


人数では"風神"が勝ってる。

それなのにみんな立ち向かうなんて無謀だ。


「大丈夫だよ」


とタクマはにっ、と笑った。


「イツキと藤ヶ谷が組めばBLASTは無敵だ」
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