B L A S T
遠ざかっていく河川の奥でイツキの姿が見えた。
彼が向かい合っていたのはセイジだ。
お互いを睨みつけ、そしてイツキが、
―――――飛んだ。
それからのことは知らない。
翌日の新聞に小さく記事が載っていたけれど、暴走族同士の紛争とだけで詳しくは書かれていなかった。
ただタクマの話ではどこで聞きつけてきたのか警察が割り込んできたせいで勝負はあいまいなものになったという。
幸いBLASTのメンバーは無事逃げ切り、噂ではセイジが今回の連帯責任者として捕まったそうだ。
警察が駆けつけたとき、セイジはすでに身動きが取れない状態だったらしい。
≪だから言ったろ。イツキと藤ヶ谷が組めば無敵だって≫
電話の向こうでタクマが自慢気に話してたけれど、イツキという人はやっぱり恐ろしい人なのだと楓は再確認してしまった。