B L A S T
≪…もしもし≫
どきり、とした。
≪俺だ≫
思わずケータイを遠ざける。
タクマと代わったのかいきなりイツキの声が聞こえた。
≪もしもし。楓いるのか≫
数日振りに聞くその低い声はなんだか懐かしい。
そのまま無視するわけにもいかず、楓は恐る恐るとケータイに耳を寄せた。
「は、はい…」
≪楓か≫
「はい」
≪どうした≫
「いえ、あの…」
≪今時間あるか≫
「えっ今ですか?は、はい」
≪じゃあ外に出ろ≫
「はい。…ってえっ!?」
地響きがした。
もしやと楓はとっさに窓の外に目を移す。
案の定、家の前ではあのパールホワイトの車が停まっていた。