B L A S T
「純平くんも来るんですか?」
「パレードやるって言ったら来たいってさ。もうあいつを取り巻く"風神"もいねえからな。さっき病院に行ってジュンの外出許可貰ってきたとこ」
とタクマ。
バックミラーに写るその顔は嬉しそうだ。
よっぽどジュンと会えることが楽しみなのだろう。
「へえ…」
ちらり、と隣を見やる。
車内に生温い風が入ってくる。
イツキは窓を開けるとそこから煙草の煙を吐き出した。
「…純平くんと仲直りしたんですか?」
楓は恐る恐る訊いてみた。
少し間が空いて
「まあそんなとこだ」
とイツキは答えた。
驚いた。
あんなにジュンと会うことを拒んでいたのに一体どういう気持ちの変化なのだろう。
もしかしたらセイジのことがあったからかもしれない。
後から分かったことだけれど、ジュンをリンチした"WAVE"はセイジがトップだった頃の"風神"の傘下にあたるチームだったそうだ。
――BLASTを慕う奴が嫌いだったからですよ。
そのことを知らずに"WAVE"に入ったジュンはセイジの自分勝手な理由のせいでひどい目に合ってしまった。
「純平くんにそのことは…」
「いや言ってない。わざわざ言うこともないと思ってな」
「ですよね」
楓はなんとも言えない気持ちだった。
BLASTに関わらなければ、ジュンは無事でいられたかもしれないからだ。
きっとセイジに目をつけられることもなかった。